8月1日は小樽坂牛邸にて田上記念室開館の当番で10:00~15:00まで滞在しました。 雨降りということもあり、午前中は来館者もなく縁側に椅子を出して住宅のスケッチを行いました。 ひさしの先端からは雨がしとしとと流れ落ち、風も館内を巡り大変気持ちの良い空間でした。 7月の前回の当番時も雨で、そのときに改めて庇の雨が機能以上に住宅に快適性をもたらすことを感じましたが、 今回ますます雨の坂牛邸が気に入りました。 もちろん庭に視界が拡がる背景と庇と縁側・内部がつながり一体となることで感じることですが、日本の庭に開かれる伝統文化の本質と形態の一端を実感しました。 室内から庇の奥行きの空間で守られ小さな滝の流れを見ている気分です。 8月2日はオープンデスクの女子学生が事務所に来てこれから2週間程度設計事務所の仕事の手伝いをしながら体験をする予定です。 大学院生のインターンシップ2名を入れると今年度は5人参加する予定です。 8月2日の夜は釧路入りし、歯科クリニックの見積を各社に依頼し、午後から歯科で使う合板の建材の様子(バラツキ)をみる為屈斜路湖経由で美幌の木材所に寄りました。 途中25年ぶり位で釧路湿原の北斗展望台に寄りました。 私はこの頃の建築家毛綱氏の作品が釧路の原風景を感じ好きです。 美幌峠から屈斜路湖の眺めは大変美しかったです。 週末はニセコに行き帰りに小樽の毛無峠で車を止め写真をとりました。 小樽札幌間は良く行き来しますが、海と空が青の色で一体となり境目が分からなくなる風景が大好きでついつい見とれてしまいます。 張碓の山に登ると小樽と札幌の街が一望できるポイントがありそうなので近いうちに登って海に浮かぶ2つの街を見てみたいと思っています。 夕方はいつもお世話になっています内田洋行のユーカラにてJIA(日本建築家協会)北海道支部住宅部会の年1回の作品発表会でした。 冒頭で賞の1つであります、長年北海道の建築文化に貢献した人々に贈る「きたこぶし賞」が 私の師 建築家 竹山実 氏に贈られる事が決まり大変うれしかったです。 受賞理由は北海道での建築家としての活動とかつて師が主宰していた自身のアトリエである アトリエインディゴで多くの若手建築家やクリエーターを集め交流し、 建築文化やコミュニケーションの大切さを伝えその後その流れが、 札幌建築塾・JIA住宅部会へとつながり発展してきた事が委員から伝えられました。 竹山実氏は今から50年位前にアメリカに渡り、彫刻家イサムノグチのもとで2年間公園計画を 手伝ったり、ルイスカーンやコルビジェ、セルトの生の授業を受け、バックミンスターフラー との交流、その後のシドニーオペラハウスの基本設計にデンマークのヨーン・ウッツォンのもとで 参加し、アルネ・ヤコブセンのアトリエなど数多くの作家のもとで学んだ人です。 私も学生時代に師に出会い、建築文化を幅広い学問体系の中から捉える視点の広さと深さにふれ、 結果として学生時代に3年 アトリエ時代に9年間お世話になりました。 発表会では「マロニエ通りの家」を発表し、 敷地環境の特性であるマロニエの風景と敷地の環境の今後の変化(マンション建設等) の予測のもとに変わらないであろう空の風景を読み解いて、庭と光を素直に感じるスケールや プロポーションや視線の流れや位置の大切さとその連続する空間の時間が確かな住まいの空間をつくる 事をお話しました。また2世帯住宅で大きな登り梁で構成する屋根が家族を包み込む事で一体感のある アイデンティティーを感じる空間となる事を考えた事をお話しました。 いくつかの批評をいただき考える点もいただきました。 各作品のコメントを委員が行うのですが、刷新しているかどうかの視点が委員から問われる点が多く気になり、考えました。 刷新するとはすっかり新しくするという意味で、良く捉えるとこれからの未来をつくりまた北海道の建築文化をより高く進化すべき事が作家としてまた北海道の建築文化を高める事になるとの意味と良い方に捉えて聞いていましたが、一方で時代は過去に見落としたり、また一見外見は同じでも技術性能として(プリウスのように)進化することや、今の時代に大切な価値観を材料・工法・ディテールとして考えられている事、それぞれの中に深く確かな理念がある事-その創造力やテーマ性がどうかと問う事、つまり理念をもとにどのように表現となったかが創造力ではないかと私なりに考えました。 現代は見える見えないだけではない創造力も問われ求められる成熟した多様性を考える時代と思います。 素晴らしく皆さんの日々の努力が集結していました。 1つ気になったのはドローイングで風景を語っていましたが実物を知る限り遠い風景であり建築家である以上、植栽を含めそこがポイントであるなら徹底的に表現すべきと感じました。 いずれにしても刺激を受けて自分のこれからを考える良い時間でした。 スタッフの方々に感謝します。 8月7日は定山渓のアートプロジェクトに夜に行き特別に消防の展示スペースも案内して頂きました。 定山渓が、従来のイメージにアートプロジェクトが加わる事で河(自然)・公園・建築と展開されるプロジェクトに街の魅力を間接的に問いかける力を感じました。