先日小樽の鰊御殿、銀鱗荘で一時を過ごしました。
私が子供の頃より今の場所(平磯岬の上)に建っており、どこからも目立つランドマークとして小樽の風景の一部になっていますが、元々は明治6年に余市町に建てられ、昭和13年に現在地に移築されました。
現在は料亭旅館として地区130年の建物が大切に維持され使われています。
内部に入ると大広間・客間から小樽港・石狩湾が一望でき、大変気持ちの良い景勝地となっています。
内部は厳選された木材、石材で微細に構成され、調度品も贅を尽くした見ごたえのある品々が随所に飾られています。
維持することは大変な事と思いますが、建築の持つ品格と力に見合ったサービスと内容となっており、訪れ過ごす人々には大変思い出深い貴重な時間が約束される空間と感じました。
本来の海よりはるか山の上ですが、旅館としてバランスよく再生され残されたことは、今となっては新設不可能な貴重な場所になっており、小樽の大切な財産です。
大切なものを残すこと、例え場所が変わってもしっかりとしたコンセプトで慎重に計画することで空間や場所が生き生きと再生されることを実感しました。
素敵な場所は自分たちで探しつくるものです。
(遠藤謙一良)