≪ 109(ファッション・ビル)
先日、快晴の日に通りがかりで中村記念病院の外観西面を撮りました。
以前は教育委員会の建物があり横からのアングルで見ることができなかったのですが、
ここ数年更地の電車通りからも良く見えるので機会があったらと思っていました。
中村記念病院は、以前私が勤めていた竹山実建築総合研究所の作品で1980年、私が学生の頃に竣工しました。
渋谷の109(ファッション・ビル)をはじめ、いくつかの竹山作品を見ていた私には、形態の放つ環境への力強さは同等のものを感じつつ、強さの中に柔らかさや親しみを感じました。
当時のロビーや5階の食堂は、光がスカイライトから降り注ぐ曲面が創り上げる、見た事のない美しく古典的でもあるような空間でした。
残念ながら現在は内部改修され、当時の空間ではありませんが、管理側からの視点で創り上げる病院ではなく市民の目で、あるいは景観としてしっかり建築を目指した事が、ほぼ30年経過した現在も色褪せる事無くしっかりと存在し、むしろ異質なほどの存在を放ち、結果として病院にとっても広く市民にアイデンティティーを得た事と考えられます。
先日、久々に札幌を訪れた竹山先生に運転手として1日ニセコへ同行し、札幌の街並や建築のお話しを氏の今までの経験を交え、広く様々な視点から考える有意義な1日を過ごしました。
竹山先生は70歳を越えられましたが、私が学生時代だった頃と何も変わらない純粋な視点は、お話しをしていて明快で心洗われるものでした。
相変わらず国際コンペへ参加しておられ、建築・都市環境への創造の姿勢に勇気づけられました。
(遠藤 謙一良)