デンマークを代表する世界的建築家ヨーン・ウッツォンが亡くなられました。
1918年デンマーク生まれで自然と調和した、美しく独創的で、時にオーストラリアの
シドニーオペラハウス(1973年竣工世界遺産)のような彫刻的な美しい建築も創り上げました。
10年前に機会がありましてデンマーク郊外のウッツォン設計の
バウスヴェア教会(1976年竣工)をみました。
倉庫のような外観の教会は20年を経過しても汚れのない美しい姿でした。
プランは両側に回廊をもち、中庭のある形でコンクリートとプレキャストでつくられ、
白とコンクリートの素材感に白木で構成された仕上です。
会堂内部は壁面に窓はなし全てスカイライトとハイサイドライトから採光し、
時間や天候によって光が美しく変化します。
開口部のデザイン等も枠を省略し、最少の要素で豊かな空間を創り上げています。
会堂の曲面で空へ繋がる空間は光と相まって印象的で素晴らしい建築でした。
バウスヴェア教会には時間を越えた建築の本質がありました。
1960年代にヨンウッツォンに師事した建築家竹山実氏は
著書の中で、実作に恵まれる機会が少なかったヨーン・ウッツォンについて
「北の落葉の木々のように、自然のリズムに合わせながら
気高く立ち尽くすところがいい。
郡山から離れて孤高を貫くところがいい。
不運でもでも彼のイマジネーションはいじけずに自分を貫くところがいい。
創造性はなにより、勇気と楽観主義を土壌に発芽するのではないか。」
と記しています。
時代を越える名作はデンマーク郊外の小さな森の中で
不屈の創造力の建築家がつくりました。
(遠藤謙一良)