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(blog)小樽坂牛邸再生・保存~NPO小樽ワークスの1年を振り返る

2年半前に小樽の坂牛邸(1927年建築家田上義也設計)をケーキを中心としたカフェにする企画をまとめる依頼がきまして、数ヶ月でまとめあげましたが同時に建築も現状保存が希望で店舗の収支で坂牛邸を保存するのは無理と判断しました。
よくよくお話しを伺うと坂牛家としては何かと坂牛邸を保存する方法を数年模索しており、カフェもその中の1つの可能性でした。
その後、何社かの食に関わる企業が見学したり建築関連の財団が訪ねたりと様々なお話しの中で1企業に委ねるある種の気軽さと危険性も見えてきました。
半年以上関わった中で景観的美しさも十分理解しここで安易な選択をする事は当面保存できても数年で跡形もなく解体される事を想像できました。
このプロセスの中で原形のまま保存・再生する事が坂牛邸や景観、しいては小樽市にとって最も良い選択であるという考えに至りました。
具体的に保存を考える中で保存実績のあった東田さんと出会い1年半位前からNPOの立ち上げを計画し、個人の力で再生・保存する事を模索してきました。
その間、坂牛家の方々と十分お話し合いを重ね、ご理解いただきました。
2008年5月14日に小樽運河プラザで「これからの坂牛邸を考える」フォーラムを100人を超える参加者の中で開催しました。
その後「NPO小樽ワークス」を立ち上げ参加メンバーを募集しながら月2~3回のミーティングを重ね坂牛邸の清掃・雪囲い・除雪を行い、また駒木先生による実測調査、また角先生による「建築家田上義也の世界1・2・3」のセミナーやNPOやコミュニティレストランについてのセミナーを企画運営していました。
12月にはNPOの会則もできあがり2009年から活動していく基礎が試行錯誤の中から見えてきました。
2009年1月13日(火)には角先生による最後の「建築家田上義也の世界 3 」が19時から坂牛邸で開催されますので興味のある方は気軽に参加下さい。
また2月15日前後に全道で建築保存再生しているNPOメンバーのフォーラムを小樽で企画しております。
1年を振り返りますと建築文化の大切さや良さを望みました。
理解している人達と出会い、また共に活動できた事が新鮮で貴重な時間でした。
メンバーを含め協力いただいた多くの方々にお礼申し上げます。ありがとうございました。
北海道の基幹産業は今や農業を除いて観光が一位となりました。
現在、海外から年間700万人の旅行者がいますが2020年には2000万人と今の3倍の旅行者を予想しています。
小樽には幸い近代の歴史的建造物が日本でも有数に残る街です。
今は寿司とガラスと運河の3点の点でステレオ化したイメージで観光のポイントとしていますが、
旅行者のリピーターや海外で本物の都市を見てきた人々には薄っぺらく魅力的でありません。
歴史的建造物を生かし、過去と現在と未来の時間軸をしっかり感じる都市環境が求められており必要とされます。
その為には有形無形の文化を見直し安易に商業化しない本質的な小樽の魅力を考える良い時期にいていると思います。
NPO小樽ワークスでその一端を荷いたいと夢見て活動しております。

(遠藤 謙一良)

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