2009年がスタートしました。
あけましておめでとうございます。
新年を迎え、日本建築の原点の1つであります伊勢神宮について記します。
大学で木造建築を教えている事もあり日本の木造建築について歴史的な視点でも調べ
数年前伊勢神宮を訪れました。
内宮・外宮がありますが両方とも圧倒的な杜の世界です。
杉や桧の巨木が立ち並ぶ中に五十鈴川が流れ、
奥深くに特徴的な掘立て柱に持ち上げられた茅葺きの唯一神明造の
簡素で力強い正殿が建っている。
もっとも全景は木塀に遮られ、全てをみることができません。
今から1300年以上も前に建てられ、それ以来20年に一度、
全く新しく建て替える式年遷宮で再生を繰り返し、
古くからの伝統を常に新しく再生して伝え続けています。
縄文から続く柱を地面から突き上げる形にこだわり、
森の生命力と呼応し大きな屋根が持ち上げられる。
自然と環境と一体となる壁のない屋根で領域をつくり、
清らかで瑞々しい浄の思考。
そこには五感を研ぎ澄ましてきた日本人の空間の原点があります。
木造は森、そして生命力溢れる日本の環境が創り上げた事がわかります。
再生可能な木造に確かな技術と思考を持つ事で木造のこれからの可能性を考えたいと思います。
(遠藤 謙一良)