5/9・10・11の3日間、スタッフ全員(計10名)で東京に研修旅行へ行きました。
初日は、歯科クリニック(ユニゾンデンタル)を見学しました。
治療ユニットをはじめ高度な衛生管理が、考え抜かれた合理性によって実現されており、
それらと両立された、患者目線にたつデザインは、魅力的な空間でした。
特に人間工学に基づいて開発されたユニットは「正しい姿勢で治療する」という、ドクター側の治療体制に配慮した形状となっており、人間本来の正しい姿勢で治療する事でドクターの体の負担が減ると共にクオリティの高い精密な治療を患者様に提供できるといった合理性に感心致しました。機械中心ではなく人間中心の考え方は建築にも通ずるものと共感しました。
午後には、内藤廣設計の牧野記念庭園を見学し、
心地のよいスケール感の空間で、それを実現するディテールが美しい作品でした。
特に木ルーバーの庇空間は、その高さやルーバーピッチ、形状が絶妙な設計となっており、その場所の美しさを五感で感じることのできる空間でした。
東京の喧騒の中で、それほど広くはない敷地内にしっかりと別の世界を作り出していた点に、建築計画の力を改めて考えさせられる場所です。
青木淳設計の大宮前体育館は、住宅街の中の建築として地下に埋め込まれた体育館によって
スケールを抑え、地域に空地をもたらすことで貴重な空間が 創り出されていました。
その足で訪れた、代々木国立競技場、代々木体育館は
目的こそ違うにせよ、時代を超えた美しさ・魅力を放っており
より一層、美しさは大切であると実感しました。
北海道ではなかなか触れることの出来ないダイナミックかつ洗練された建築の持つ力強さは、やはり建築のもつ力です。
また、ふと訪れた東中野の商店街は、狭い道の両側に商店がつらなり活気があり
現在の北海道の商店街とは対象的であることから、興味をもち
何とかこのような空間を北海道で実現できないかと考えながら歩きました。
翌日は、木造建築の見学として七沢希望の丘初等学校を訪れました。
丘の上に立つ木造校舎で、敷地に合わせて折れ曲がり、
ひとつの屋根のもと、常に様々な場がある魅力的な空間でした。
生徒達は、全員が元気に挨拶をしてくれるなど、生き生きしており
空間と子供が一体となって育まれている理想的な学校でした。
代官山の蔦屋書店は、さまざまな文化を感じる街、代官山に溶け込み
それらを統合するような発信力のある環境でした。
三日目は、青山方面を遠藤の友人に解説していただきながら見学しました。
隈研吾設計のサニーヒルズは、木が網目の様に組まれており、そこから差し込む光は、
森の中にいるような感覚を覚える、不思議な新しい空間でした。
スイスの建築家、ヘルツォーク&ド・ムーロンによる彫刻的なデザインに基づいた、
プラダは、いつ見てもきれいに輝き、新しさを感じます。
高級ブティックビルが建ち並ぶ建築ストリートの中でも、ひし形の格子と凹凸のあるガラスによる表現とフォルムがひときわ目立ち、他を圧倒していました。
根津美術館では、国宝:燕子花図屏風を拝見し、燕子花が見ごろの庭園を散策しました。
庭園内のcaféは、最小限の構造によって組まれた名作でした。
訪れるたびにその変化を目の当たりにする東京、建築の更新の速さの中に時代を先読みし、街に溶け込ませる多様なデザインでつくられていく街並みは大変勉強になり、またその中にいて変わらず古きを持ち続ける街並みもまた魅力的な空間でした。
こうした東京とはある意味で対極的な北海道において、我々がすべきことは何かと深く考えさせられる意義ある建築ツアーでした。