16000㎡位の広大な敷地はなだらかな傾斜の中に森と池が形成されその森を守るように道路面にL型に美術館が建っています。
表参道から竹林と水平の屋根と深い庇に平入りでアプローチすると竹が半割りされた小間返しの壁の長い露地を歩いて玄関に至ります。
エントランスからは南面に庭園と森がガラス越しに展開し美術の展示空間がロビーから始まる構成です。屋根は切妻で内部空間も傾斜する天井で吹き抜け越しに2階の展示空間につながり、竹の突板の天井仕上げは構造柱の幅w=100のスリットに対応した軽快な表現になっています。
なんといっても細いスチール柱が空間に圧倒的な軽さと屋根の存在感を高めています。
庭園内のNEZUCAFEも3方に開かれたガラス面をわずか2柱の細い柱で支持され屋根が森に浮かぶ空間となっています。傾斜するスカイライトに映る樹々の枝や葉の影が天井にうつろう大変気持ちの良い空間でした。
メニューも美味しかったです。
庭園や森の時空の中で美術を巡り、お茶や食事の一時を楽しめる大変上質な美術館でした。日本の空間に潜む素材や自然との融合、関係性による圧倒的で微細なエレメントの情報がしっとりとした時空を創る事を実感した”場所”でした。
(遠藤謙一良)