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2021年新建築12月号月評~EAA OFFICE

札幌の中心に近い立地であるEAA OFFICEは、屋根形状の工夫で光、風を取り込み、北海道の厳しい気候ゆえ、自然のポテンシャルを最大限に活用し、まず何より内部空間の快適性を求めた木造建築である。敷地が面する南側の道路の街路樹であるマロニエの本物の木漏れ日をその環境制御に取り込むことで、一体的な風景を形成している。「身体感覚に働きかける『街の中の森』」との自称が説得力を持つのは、木造の質感に加えて室内環境が昼夜、四季といった時間軸で変化する外、自然との繋がりによって生み出されているからであろう。

なお最後に担当した本号でいちばん印象に残った言葉は、建築論壇で語られた「日本では昔から地域特有のマテリアルとシンクロした普遍的な暮らしの豊かさが、生活の価値基準としてあります」である。正直、都市においてはそのような生活の価値基準は、ずっと揺らいだままだ。暮らしの本当の豊かさとは何か、この都市での実践の中で問い続けていきたい。

中島直人氏(東大准教授)新建築12月号月評より抜粋

 

 

これから建築に向き合う上で励みになる言葉でした。

自然と向き合う事は人間の身体にとって最も健全で、生活の大切で大きな指標であると考えます。美しく厳しい自然に対して、安定的な室内の人口環境の中で過ごすのではなく、周囲の環境をしっかりと読み取り、最新のシンプルな技術でより自然を体感する感性に響く環境・空間の創造を目指しました。

以前、「辺境の世界を拓く」とコメントしましたが、温度・湿度だけではない「感性の指標」による新たな環境が、寒冷な北の大地の新しい世界を拓く事をこれからも目指したいと思います。

 

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