2006年秋に青森県立美術館、三内丸山遺跡を観に青森を訪れました。
夜行列車に乗って早朝青森に入り、青森県立美術館に向かいました。
白い矩形の建物で、エントランスからエレベーターで地下にアプローチし、地中の中の展示空間です。敷地が三丸山のエリアにあることもコンセプトに深くかかわっているのでしょうが、主な仕上げが白く塗られた煉瓦の壁と土の内装仕上です。高い吹抜けの空間と三内丸山のイメージにつながる壁と床のプリミティブな空間が印象で、隣接する遺跡との連続性を自然な形で感じました。
三内丸山では、伊勢神宮につながる掘立柱の展示・茅で深く覆われた大屋根の建築が、現代につづく日本建築の原点(屋根と柱で領域を作る)を見るようで新鮮でした。
翌日知人の弘前の建築家前田卓氏の強い勧めで、弘前の前川國男作品と、吉井酒造煉瓦倉庫で開催されていたアーティスト、奈良美智+graf[A to Z]展を観ました。
まったく予備知識なく入りましたが、展示空間の流れに沿って、その密度と展開と作品が渾然一体となった今まで味わったことのないすばらしい時間となりました。
吉井倉庫が持つ空間の力と、その空間の十分感じながら創り上げた奈良美智+grafの作品は空間に仮設の小さな心地よい建築を作り、その中や周辺に奈良美智のアート作品が展示され、固有性の強い時間と空間・アートが全体として記憶や感性に響く作品でした。女の子の絵が特徴的ですが、少女の表情にアートとしての大切な力を感じる最高の展覧会でした。
前田さんから多くのボランティアによって展覧会がつくられた事、前田さんも仮設の設計・ファサードデザインと主力でかかわったことを聞き、地方でこれだけのものをつくったエネルギーと、改めてアート空間の底知れぬ力を強く感じる勇気をもらった旅でした。
文化と経済のバランスに可能性を感じました。
青森県立美術館 HP
http://www.aomori-museum.jp/ja/
奈良美智+graf[A to Z] HP
http://harappa-h.org/AtoZ/modules/news/
(遠藤謙一良)